会計監査
ベトナム会計法によると、ローカル企業が決算期には会計監査を受ける義務はないが、これに対して、外資系企業は監査法人による会計監査(年一度)を受ける義務がある。
日本企業からのヒアリングでは現地の規制について、「細目が設定されていないので、分かりにくい」、「誰に相談すればいいのか分からない」、「多方面に打診しなければならない」等のコメントがあった。現地では、各種規制がまだ整備されつつある段階で、変化のスピードが速い模様であることから、現地で事業を展開する際には、政策の動きに注意が必要である。
なお、食品の安全基準策定については、科学技術省、厚生省、農業・農村開発省が共同で現在取り組んでいるとの政府関係機関からのコメントがあった。同基準には罰則規定も織り込まれ、2009 年末には策定される見通しとのことである。中国で粉ミルクにメラミンが検出される事件が発覚した影響等から、ベトナムにおいても、近年、食品の安心・安全や品質に対する消費者の意識が高まっており、食品製造に関する法的運用体制の整備は徐々に進んでいくと予想される。
一方、商品の品質基準以外に関する規制については、日本から進出する企業にとって分かりづらい部分が多い状態が続く可能性がある。ある企業では、新規事業のライセンスを取得するに際して、人民委員会(日本の地方自治体に相当)、工業団地、外国投資庁等に掛け合い、約半年を費やしたとのことである。公的機関の対応は人的なつながりに左右される傾向があると見られることから、現地法人のトップは、現地の政府・人民委員会関係者や事業家等、できるだけ幅広い人脈の構築に努めることが望ましいと考えられる。