11月20日、出席した国会議員の90.06%の賛成をもって、国会は以下のように多くの修正内容を加えた2019年労働法(下記「改正法」と言う)を可決した。新しいポイントは次の通りである。
1. 労働契約に関する規定(第20条)
改正法には、労働契約が無期労働契約、又は有期労働契約の2種類のいずれかで締結されなければならないと規定する。具体的には:
– 無期労働契約とは両当事者が契約の効力を終了する期限及 び時期を確定しない契約である。
– 有期労働契約とは両当事者が契約の効力を終了する期限及 び時期を確定するが、36ヶ月を超えない契約である。
季節労働契約は当該改正法で規定されない。
また、労働契約の形式について、2012年労働法で規定された書面の形式の他に、改正法には電子取引に関する法令に従うデータメッセージの形式で電子メディアにより契約を締結でき、書面による契約と同様で有効するという規定が追加された。
2. 管理職に対する試用時間の規定(第25条)
改正法には旧法で規定されなかった管理者に対する試用時間に関する規定を追加された。具体的には、企業法で規定された管理者の業務に対し、試用期間が180日を超えないとする。
3. 被雇用者が一方的に契約を解除する権利に関する規定(第35条)
2012年労働法により、法令で定められたいかなる場合に被雇用者は一方的に契約を解除する権利を有し、契約の種類に応じ、3日~45日前に通知が必要とする。但し、2019年の改正法によると、被雇用者は理由なしに一方的に契約を解除することができるが、定めた期間に従い、事前に雇用者に通知する義務を負う。同法に、被雇用者が事前通知なしで労働契約を一方的に解除する権利を有する7つの理由について規定する。 詳細は:労働契約で合意した業務や勤務地に配置されない、または労働条件が保証されないこと;労働契約に定めた給与を十分に支給されない、あるいは支給が遅延すること;雇用主が提供した情報が真実ではないこと及び他の法定による理由である。
4. 雇用者が労働契約を一方的に解除する権利に関する規定(第36条)
旧法の規定と比べ、改正法に雇用者が労働契約を一方的に解除することができる場合を追加された。詳細は次の通りである。
– 被雇用者は法定の定年年齢に達した場合。
– 被雇用者は正当な理由なしに連続して5営業日以上にわたり、無断欠勤した場合(旧法によれば、当該場合は雇用者が解雇処分を適用できる場合の一つである。)
– 被雇用者は不正な情報を提供する場合
5. 時間外労働(残業)に関する規定(第107条)
雇用者は次の条件を十分に満たした際、被雇用者に時間外労働をさせることができる。
– 被雇用者の同意を得ること;被雇用者の1日の残業時間は、1 日の通常労働時間の 50%を超えてはならない。1週間当たり通常労働時間の制度を適用している場合、通常勤務時間及び残業時間の総数は 1 日で12 時間、1 カ月で40 時間を超えてはならないこと(2012年労働法には、1か月で30時間を超えてはならないと規定した)。
– 本条第3項の規定による場合を除き、1年間で被雇用者の残業時間の上限は200時間とすること。
– 下記の事業内容、業務、又は場合において、雇用者は被雇用者に1年で300時間(残業時間を1年で400時間に引き上げる草案は可決されなかった)を超えない時間外労働をさせることができる。
+ 縫製・繊維、皮革・履物、電気設備・電子製品、農林水産、塩等の製品の生産・加工
+ 発電・配電、通信、製油、給排水の各業種
+ 高度の専門的知識、技術を有する労働者を必要とするが、労働市場で人材が不足しており、タイムリー採用できない場合;
+ 原材料、製品の季節性により、問題の解決は緊急で延滞できない場合、又は季節的な要因、戦争、火災、天災、電力・原材料の不足、害生産ラインの技術的故障等の不可抗力により、
発生する問題を解決する場合
+ 政府により定められるその他の場合。
6. 定年退職の年齢の引上げ(第169条)
2012年労働法に「社会保険に関する法律の規定に基づき、社会保険加入期間の条件を 満たした満 60歳の男性と満 55歳の女性の被雇用者は、定年後の 年金の支給を受けることができる」と定めたが、2019年労働法には定年退職の年齢を次の通り、階段的に引き上げる:男性が2028年に満62歳、女性が2035年に満60歳となる。2021年から、通常の労働条件で働く被雇用者の定年退職年齢は男性が満60歳3ヵ月であり、女性が満55歳4か月である;その以降、1年ごとに男性に対し、3ヶ月、女性に対し4ヶ月を引き上げていく。
法令に別段の規定がある場合を除き、労働能力が低下され;重労働・有害・危険な仕事及び業務をしており;困難な経済社会状況のある地域で働いている被雇用者は、引退時点で法定の定年より低い年齢で引退できるが、本条第2項に定めた年齢と比べ、05歳を超えてはならない。
法令に別段の規定がある場合を除き、高度の専門的知識、技術を有する被雇用者及び特定な場合は引退時点で法定の定年より高い年齢で引退できるが、05歳を超えてはならない。
7. 祝日、正月休みの調整
建国記念日の日数を1日追加して2連休(西暦の9月2日及び前後1日)とする。
祝日、正月休みは週末と一致する場合、代休を取れる規定を消除する。
8. 労働規律に関する規定の改正
改正法には、解雇処分の適用を旧法より詳細に規定した。具体的には、就業規則に職場におけるセクシャルハラスメントの場合を追加し、被雇用者が正当な理由なしに30日で合計 5 日、又は365日で合計 20 日、 無断欠勤した場合について詳細に案内する。
9. 外国人労働者向けの労働許可書の有効期限に対する改正
改正法には労働許可書の更新回数及び更新可能期間を制限する規定が追加される。それによると、労働許可書の期間は最大2年間とし、更新の場合、最大2年間まで1回のみ更新できる。
労働法(改正版)は17章と220条があり、2021年01月01日から発効する。